
カーリングの語源はなんですか?
あのゴシゴシに意味はあるのですか?


この競技の醍醐味ってなんですか?
今回のコラムでは、こんな質問に答える形でカーリングをご紹介します。
カーリングの基礎知識(初めての方へ)#2
こんな方におススメ
- カーリングの語源が知りたい方
- 石をぐるぐるさせたり、ブラシでゴシゴシする理由に興味がある方
- カーリングに夢中な自分のことを「なんでだろう?」と不思議に感じている方
カーリングの語源は?ストーンが曲がる話
カーリングの語源は「カール/Curl」、意味は「曲がる事」です。
カーリングの面白さ/難しさは、ストーンが「曲がる事」そして、積極的に「曲げる事」にあります。
実は、ストーンをそのまま投げた(真っすぐ押し出した)場合、野球のナックルボールの様に軌道が不安定になり、思った所にいきません。
なので、軌道を安定させるためストーンに回転(ターン)をかけて投げます。
図4を見てください

反時計回りにターンをかけるとストーンは【左】へ、逆に時計回りのターンではストーンは【右】へ曲がっていきます。
ゲームを行うにあたっては、この現象を如何にうまく使えるかがキーになります。
例えば、ハウス前にあるガードストーンの裏に回り込む事で、打ち出されにくい状態を作り出す事が出来ます。
(後半で具体的に述べます)
ゴシゴシしているのは何故?ストーンが滑る話
テレビやSNS動画でカーリングの試合を見た事がある方は、試合前に氷の上をタンクを背負い手に何か持って後ろ向きにあるいている人を見た事はありませんか?
図5を見てください

これは、アイスメイク(別名ペブル撒き)と言います。
スケートリンクの氷の表面は平らですが、カーリングシートの氷の表面は小さなでこぼこがいっぱいあります。
アイスメイクの際に、ペブル管というジョウロのような道具を使って氷の表面に水滴を撒き、ぺブル(英語で「砂利」の意味)を作ります。
これにより、ストーンの接地(氷)面積を減らし、摩擦抵抗を減らして滑りやすくします。
図6を見てください

更に、ストーンが滑る前をブラシでゴシゴシ(スイープ)する事で氷が溶けて、ストーンがわずかに浮き上がり、摩擦抵抗が大幅に減少します。
これにより、直進性を増すと共に到達距離を伸ばすことができます。
(これも後半で説明します)

ストーンが浮き上がる・・・。
ハイドロプレーニング現象がカーリングでも起こるんですね!
ネットで調べてみたところ、こんなものを見かけました。
選手にブラシで氷上を掃いてもらった場合、何もしない時より2m以上距離が伸びました(中略)柄の先に、使い捨てカイロをつけた特製ブラシで掃いてみると…ストーンはぐんぐん滑り、普通のブラシで掃いたストーンより、4m50cmも長く滑ったのです。
出典:知識の宝庫!目がテン!ライブラリー より抜粋

あ!良い子は使い捨てカイロをブラシにつけないでくださいね。氷に負担がかかりますので。
カーリング競技の醍醐味について
カーリング競技のルールについて少し復習しましょう。
- ハウスの真ん中にストーンを置いたチームだけが得点出来る
- 両チームが「先攻」と「後攻」に分かれてプレーする
- 得点を取ったチームは、次のエンド(回)には「先攻」になる
- 得点を取るのは「後攻」が圧倒的に有利
- フリーガードゾーンルールがあるから、途中までストーンを打ち出せない
このルールを両チームが最大限に利用して、ゲームの主導権を握ろうとします。
「緻密に練られた戦略」と、それを実現する「ストーンの軌道制御する技術」を駆使することで、最終的な勝利を掴もうとするのです。
氷上のチェスとも言われる緻密な戦略性
カーリングのゲームに勝つためにはカーリングの技術に加えて「緻密な戦略」が必要になってきます。
自分たちが主導権を握る為に
- 先攻のとき、わざと相手(後攻)に1点だけを取らせる
- 後攻のとき、複数点が見込めない時は敢えて点を取らずブランクエンド(自分たちを0点)にする
といったことを考えます。
これはなるべく多くの点を取りたいという他の競技では考えられない戦略かもしれません。
- 相手チームのストーンの通り道をあらかじめ塞いでおく
という、常に相手チームのやりたい事を予測して先取りしていくことが必須となります。
ストーンの軌道制御
ストーンの軌道を適確に制御し置きたいところに石を置くためには、「曲がる特性」と「滑る特性」の両方を正しく理解し、瞬時に判断・実行する必要があります。
遅いストーンは大きく曲がり、早いストーンは直進するという特性があります。
直進してきたストーンが、速度が落ちてきて曲がり始めるポイントを「ブレイクポイント」といいます。
図7を参照ください

赤チームの気持ちで考えよう
今、先攻【黄チーム】の1投目、センターガードを置いてきたとします。
後攻【赤チーム】は、フリーガードゾーン・ルールにより黄ストーンを打ち出す事はできないので、黄ストーンの裏側【B】に置きたい。
ここで、もし投げたストーンの力が弱く速度が遅ければ、手前で曲がってしまい【A】の位置に行ってしまいます。
逆に、投げたストーンの力が強く速度が早すぎれば、目標より奥の【C】の位置に行ってしまいます。
目標【B】の位置に正確にストーンを置くには・・・
ちょっと遅めのストーンなら、スイープ【①】で距離を伸ばし、ブレイクポイント手前でスイープを止めると曲がり始めます。
目標【B】の手前で、必要なら再びスイープ【②】して目標の位置まで持っていきます。
速すぎたストーンの場合【B】の位置にストーンを置くことはできないので、別のプランを考えます。
今回は、【C】の位置に止まってしまった場合、相手にこのストーンを利用されるので都合がよくありません。
そのため、相手チームに利用されない様に、スイープ【③】して【D】の位置まで出してしまう方がいいでしょう。
こうした「緻密な戦略」と「ストーンの軌道制御」の両立、これぞまさしく『カーリングの醍醐味』だと思います。
まとめ
今回はカーリングの醍醐味(面白さと難しさ)を紹介させて頂きました。
次回からは、さらに踏み込んだ話をしていきます。
コラム【第3回】カーリングの基礎知識(初心者の方へ) #1 ストーン/ブラシ/シューズの話
ご期待ください。
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